【皇居 観光】なぜ江戸城は燃えたのか?そして、江戸城天守閣再建の実現性は?【経済的観点から見てみる】

その他



 前回の参議院選挙で、江戸城再建を掲げる候補者がいました。
江戸城は皇居を含む一帯の敷地のことです
江戸城の一部を引き継いでいる皇居が現存しているのに、なぜ再建と疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
この候補者が正確に言いたいことは、江戸城の天守閣の再建です。
現在の江戸城は、城のシンボルである天守閣を失った状態となっています。
天守閣のない城は、城とは呼べないと考える方も多いでしょう。
そのため、この候補者は、江戸城の天守閣の再建を主張しています。
では、江戸城の天守閣の再建は実現性があるのでしょうか。

 僕は、江戸城の天守閣再建は可能であり、やるべきだと思います。
その理由は、日本のシンボルになり、観光資源として費用対効果がものすごく高いからです。
これまで江戸城再建を阻んできた理由は、費用面にあります。

 江戸時代に江戸城の天守閣は大火事で焼け落ちました。
それと同時に江戸の町も大きく被害をこうむりました。
なぜ火事の後に修復されなかったのかというと、江戸幕府は、再建費用を天守閣の再建より江戸の町の復興を優先したからです。

以下は詳しい詳細の引用です。

“この寛永の天守は、明暦3年(1657)の火災で焼け落ち、翌年に加賀藩前田家の普請により高さ18mの花崗岩でできた天守台が築かれます。これが現在残る天守台ですが、四代将軍家綱の叔父である保科正之の戦国の世の象徴である天守閣は時代遅れであり、城下の復興を優先すべきであるとの提言により、以後天守閣は再建されることはありませんでした。現在、東西約41m、南北約45m、高さ11mの石積みが残っています。”
千代田区観光協会
https://visit-chiyoda.tokyo/app/spot/detail/41

このように当時は江戸城を再建できませんでした。
それから現在に至っています。

 では、現在、江戸城を作るとなると、どのぐらい費用がかかるのでしょうか。
日経TECの記事によると、江戸城の天守閣の再建費用は、約350億円と算出されています。
350億円と聞くとものすごく高額なイメージがあります。
しかし、大企業の本社ビルを建てる(例フジテレビ 1200億円※1)よりも費用は抑えられると思います。
それでも建設費は高額なので、しっかりした財源が必要です。
また、江戸城の再建後に、維持運営費が必要になります。
維持運営費に関して、大阪城を例に見てみましょう。
大阪城の天守閣は令和4年のデータによると年間約5億4000万円の維持運営費がかかっています。※2
大阪城は、チケット収入だけでも維持運営費を賄うことが出来ています。
そのため、江戸城の維持運営費が大阪城と同額なら、再建後の経済効果を見ると十分に運営していける可能性が高いです。

下記は、日経TECの記事の引用です。

“ 総事業費は約350億円と算定した。本体工事に250億円、仮設と天守台改修などに50億円、展示物などに50億円を見込む。”

江戸城天守の再建なるか、事業費350億円と試算
https://xtech.nikkei.com/kn/article/building/news/20131023/637150/



 では、どこから江戸城の天守閣再建の資金を捻出すべきでしょうか?

僕は2つの方法から捻出するべきだと思います。

① クラウドファンディング、②観光国債の発行です。

 まず、①クラウドファンディングです。
実際に現在江戸城の天守閣再建を目指しているNPO法人江戸城の天守閣を再建する会があります。
その法人が天守閣再建の前に、再建したらどのようになるのかを体験できるアプリを作るというもので、1000万を目標に行いました。
このアプリは、江戸城の天守閣の跡地でARを使用して、実際の江戸城を再現してみるものです。
このクラウドファンディングの結果は650万円ほどとなり、資金が集まりませんでした。※4

これをみると集まらないように見えますが、実はこのクラウドファンディングには問題点が2つあります。
1⃣国家もしくは東京都公式の団体ではない
2⃣外国人に対して行っていない
3⃣ 本物の江戸城に比べ、ARにそれほど魅力がない

この3点の問題からこのクラウドファンディングが失敗しました。
そのためこの3点の問題が解決すれば、クラウドファンディングで資金を集まるでしょう。
だからクラウドファンディングを活用すべきです。

 次に②の観光国債の発行です。
政府は観光国債を発行し、その財源で江戸城の天守閣再建を推し進めましょう。
そして観光国債の返済は、再建後の利益から賄えばいいと思います。

 では、江戸城の天守閣はどのくらいの利益を得ることができるのでしょうか?
大阪城と比較してみます。
大阪城の場合は天守閣のみでコロナ前の2019年218万人が来場しました。※2
大阪城の入場料は大人600円、中学生以下は無料です。※5
3分の1の入場者は子供と仮定すると、130万人と考えられます。
その仮定条件での売上が概算で7億8000万円になります。
維持管理費が5億4000万円と考えると、チケット代だけで利益は2億円近くです。

 江戸城の場合は、東京という立地を考えると、近年、建設された東京スカイツリーとほぼ同額になると予想されます。
東京スカイツリーの場合、展望台デッキ大人2100円、中高生1550円、小学生960円です。※6
これを大阪城と同じ入場者数と同じ割合だと仮定すると、江戸城に適用しますと、130万×2100円、1550×52万人、1000×28万人で売上が概算で37億円ほどです。
維持管理費は5億4000万円ほどとすると、概算で29億円ほどの利益となります。

 また、僕は江戸城に予想以上に人が来なかった場合、他の城とのタイアップや、アニメ、漫画とのコラボ、海外の人への広告、優秀な人材のヘッドハンティングなど試行し、赤字を回避していけばいいと考えます。

 最悪、江戸城の運営費が赤字になってしまった場合、羽田空港ならびに成田空港の空港使用税を創設し活用するべきです。
羽田空港ならびに成田空港の使用者から税金を取るべきかと言うと、江戸城を見に来る外国から来た観光客は、ほぼ羽田空港ならびに成田空港を使うからです。
羽田空港ならびに成田空港を使う観光客は東京のホテルに泊まって、江戸城を見ることが想定できます。
江戸城再建の観光国債はなるべく関係のある人から回収すべきだと考えます。
そのため、江戸城再建で儲からなかったら、羽田空港ならびに成田空港の空港使用税を創設し活用するべきです。

この様に観光国債に対する返済めどが立ちます。
だから観光国債を発行するべきです。
これ等2点から資金を捻出していくべきだと思います。

 また、今回、日本共産党は江戸城再建より年金の方に財源を増やすべきだと主張していました。
僕は、経済効果が大きく、江戸城再建の方に財源をあてるべきだと考えます。
 では、実際の経済効果が得られるのかを見ていきましょう。

 江戸城を試算した日本経済研究所とNPO法人江戸城の天守閣を再建する会は、竣工1年後までの経済波及効果を約1000億円、来場者数は500人と試算しました。
この試算は再建に関わる人、入場料、ミュージアムショップなどの買い物費が入っています。
江戸城の天守閣再建で生み出される雇用は、8240人と仮定していますが、より詳しいことは書いていません。僕は、個々の試算に入ってないであろう下記に述べる関係業界を含めれば数万人規模になると予想します。※6
江戸城を観光した後に行く江戸城とは関係ないレストランを運営している飲食業界や、その日に泊まるホテルを運営している観光業界、江戸城に行くまでの交通を担う交通業界、江戸城の天守閣を利用して記事を書く広告業界など関連する業界の経済効果はかかれていません。
この日本経済研究所の試算より多くの経済効果がある可能性は高いです。

以下、日経TECから引用します。
“経済面の検討はシンクタンクの日本経済研究所(東京都千代田区)が実施。竣工1年後までの経済波及効果を約1000億円と試算した。初年度の来場者数を500万人、入場料を1200円、来場者の消費支出を70億円などとして算出。仮に2年目以降も同じ集客を維持できれば、運営者側に毎年130億円の売り上げが立つ計算だ。
雇用誘発効果は8240人とした。500万人の来場者があれば、PPP(官民連携)事業にすることで、財政負担を発生させることなく天守の再建と運営が可能との判断を示した。“

上記のことを考えると、かなりの経済効果があるのが分かります。
 江戸城の天守閣の再建で増える税収の中には、社会保障費も含まれており、江戸城の天守閣再建に反対をしていた共産党が主張する年金など財源がより安定するでしょう。
年金が安定すれば、江戸城の天守閣再建に直接関係のない人にも恩恵があります。
私はこの経済効果から江戸城の天守閣再建の費用対効果として優れているのではないかと思いました。
これまで述べてきたことから、私は、江戸城の天守閣再建をやるべきと思います。

参考文献
※1 NHK本社の建替コスト1700億円を「会計士が真面目に」民放と比較しました。 すると思った以上にひどい結果が…
https://kkblog731.com/2019-09-06-190808/

※2大阪城パークマネジメント事業 令和元年
https://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/cmsfiles/contents/0000020/20226/r1_03b_houkoku.pdf

※3 400年越しに蘇る”江戸城” その姿を。ARで次の時代へバトンを繋ぐ
https://readyfor.jp/projects/edojo-ar

※4 大阪城 公式ホームページ
https://www.osakacastle.net/guide/

※5 東京スカイツリー 公式ホームページ
https://www.tokyo-skytree.jp/ticket/individual/day/day.html

※6 NPO法人江戸城の天守閣を再建する会
江戸瓦版 第33号2014/02/05 P3
https://npo-edojo.org/index.php/kawaraban?page=3

【その他のおすすめ記事】

日本の産業構造について 『世界一になりうる映画業界に投資を(任天堂の映画マリオから考える)』

大阪万博に向けスカイマーク中心の神戸空港における国際化の理由についてーインド便ができるかもー



コメント

タイトルとURLをコピーしました