今、急激な円安が進行しています。
これは、アメリカのインフレ対策によるものです。
世間では、円安のよる物価高に注目されていますが、それ以外にも懸念すべき点があります。
それは、円安の反動で起きる急激な円高を警戒するべきだということです。
その理由は、今回の円安が日本経済由来のものではなく、アメリカ経済の高インフレを起点とした金利政策とそれに乗っかった投資家によるものだからです。
では、なぜアメリカ経済のインフレは起きたのでしょうか?
それは、アメリカ経済の需要に対する物資の供給不足が原因です。
供給不足に陥ったのは、以下の3つの要因が挙げられます。
1.中国のロックダウン政策などによる物の生産停止
2.ウクライナ戦争を由来とした鉱石資源全般の価格高騰
3.アメリカの労働意欲の低下による労働者不足
1の中国のロックダウン政策などによる物の生産停止についてです。
まず、前提事実として、アメリカの最大輸入国は中国です。
アメリカは、以前から中国の生産した物に頼っていました。
中国のロックダウン政策が行われたのは、深センなど製造業が盛んな地域です。
ロックダウンの影響により、中国各地の工場は生産ラインを停止せざるを得なくなりました。
一方、アメリカでは、中国の輸出品がないため、供給不足に陥り、現物品に需要が集中しました。
その結果、必要以上に物の値段が上がり、高インフレの一因となりました。
次に2のウクライナ戦争による食料品や鉱石資源全般の価格高騰です。
ウクライナ戦争の対ロシア制裁により、西側諸国ではロシアの資源を活用できなくなりました。
そのため、中東やアジアなどほかの資源国への負担が増加しました。
このことが鉱物資源を活用するすべての製品やサービスの値上げに繋がり、高インフレの一因となりました。
“小麦の価格上昇が顕著で47.2%も値上がりしました。加えて、鶏肉41.8%増、大麦33%増、油脂29.8%増、大豆20%増になっています。”
“肥料や金属、鉱物などの原材料も輸出が止まっており、農業や建設業にも影響を及ぼしています。”
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最後に3のアメリカの労働者意欲による労働者の低下です。
この原因は、バイデン政権のよる手厚い補助金政策によるものです。
コロナ対策による失業保険が手厚く、働かずに生きていけるようになりました。
“バイデン政権は、国民1人当たり16万円の直接給付を含む200兆円の経済対策を実施しているほか、20年間で220兆円を支出するインフラ再建の計画をスタートさせた。
これらの対策には、失業保険の給付期間の延長や、給付金の増額、また特に低賃金の仕事を対象にした特別給付なども含まれている。“
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この結果、労働意欲が下がり、アメリカの労働者不足に繋がりました。
アメリカの労働者不足は、アメリカの供給力不足の原因の一つです。
供給力を増やすために、補助金以上の高い賃金を支払わなければならなくなりました。
このことがアメリカの高インフレに繋がりました。
アメリカのFRBは、アメリカの高インフレを抑えるために、金利を大幅に上げています。
その結果がドル以外の通貨安です。
では、なぜこの状況下で急激な円安に備えるべきかというと、日銀の利上げとインフレ抑制後のアメリカ側の利下げが予想されるからです。
まず、日銀の利上げについてです。
日銀は、他国と比べ、頑固に利上げを否定してきました。
現在、年初と比べて40%以上の急激な円安となると、日銀は円安対策をするよう政府やマスコミからの圧力を受けるはずです。
その結果、円安対策をしなければいけない状況に追い込まれ、利上げを決断する可能性があります。
このことに加え、アベノミクスを率いてきた黒田総裁が来年3月で退任します。
そうなると、今年後半から来年初頭は次の日銀総裁の意向に沿う政策が行われる可能性が高いです。
現在、来年の日銀総裁が利上げ派になると多くの方が予想されてることから、利上げ政策の方向に向かうとおもいます。
また、利上げ政策を行った場合、利益を得たヘッジファンドが円を売ることも予想されます。
このことが円高の材料になるでしょう。
次に、インフレ抑制後のアメリカの利下げ政策についてです。
利上げの反動で、インフレを抑制したアメリカは、リーマンショックのような景気後退に陥ります。
景気後退を乗り切るため、今度は金利を大幅に下げる可能性が高いです。
そうなるとドルがアメリカから世界に流れ、ドルの価値が低下します。
そして、相対的に円の価値が上がり、円高に繋がります。
そうなると1ドル80円レベルの急激な円高も起こる可能性が高いでしょう。
これらのことから、僕は急激な円高に警戒すべきだと思います。
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